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トランスフォーメーションは、テレビアニメ超時空要塞マクロス』、『マクロス7』、『マクロスF』および関連作品に登場する巨大宇宙戦艦が持つ機構の名称。艦体の各部を移動して、戦艦から人型ロボット形態へ「変形」する。

テンプレート:ネタバレ

SDF-1 マクロス[]

構造的理由[]

地球に墜落した監察軍の宇宙戦艦(識別名ASS-1)は、ゼントラーディ軍の艦艇と異なり、独立したブロックを組み合わせるモジュール構造で造られていた。地球でSDF-1マクロスへ改修された際にも、生存率向上のためそのまま復元されたが、後の実戦において「トランス・フォーメーション」という想定外の用途に活用されることになる。

マクロスの通常巡航形態(要塞艦)では艦体の中央ブロックに主反応炉フォールドシステムが設置されており、主反応炉は後部推進ブロックに接続してエネルギーを供給している。主砲発射時にはフォールドシステム上の伝導管を通じて、前部砲身ブロックへエネルギーが送られる仕組みだったが、フォールド事故でフォールドシステムが消滅した際、巻き添えで特殊合金製のエネルギー伝導管までもが消滅したため、要塞型での主砲発射が不可能となる。そこで窮余の策として、艦体を構築する各ブロックを組み換え、主反応炉と主砲回線を直結させる「応急的な主砲発射体勢」が編み出されることになる。

変形プロセス[]

艦体中央ブロック後方の主反応炉と砲身ブロック基部のエネルギーコンバーターを接近させるには、艦中心を軸にそれぞれを逆方向に90度ずつ回転させ、円周上で位置を重ね合わせる方法が用いられる。そのプロセスは、

  1. 砲身が左右にスライドし、それぞれ90度回転して中央にビーム収束スペースができる(通常の主砲発射体勢)。
  2. そのスペースをすり抜け、艦体中央ブロックが前方に90度回転。後方の艦橋ブロックは位置を保つが、艦橋は隣接するレーダーブロックと合体する。[1]
  3. 両舷の砲身・胸部(腕部)・脚部ブロックが連動して後方に90度回転。主反応炉と主砲のエネルギ-カップラーの位置が隣接し、導線が結ばれる。
  4. 砲身が胸部斜め後方へスライド。脚部が伸張し、腕部兵装ステーションも両翼へ展開される。

全長約1,200メートルの巨体のため、発動から完了までの所要時間は3分以上の時間が必要。小説版においては、いくつかの安全確認シークエンスを省略した、ラジカル・トランスフォーメーションの存在が記されているが、テレビ版や劇場版では、このモードの存在は特に描写されていない。直結とはいえ、主反応炉と主砲回線は完全に直接繋がるわけではなく、変形のたびに搭乗員やバトロイドが直径数メートルから数十メートルもある複数の補助導線を抱えて艦内を走り回り、手動で接続している。そのうえ、艦内の補助導線の接続コネクタの位置は、あまりの艦体の巨大さゆえに全く同じ位置に固定されることは少なく、変形のたびに数十メートルの誤差を伴っており、導線接続担当の搭乗員達の苦労たるや、想像を絶するものである。

結果的に、作業後の主砲発射体勢は人型ロボットを模したような形態となったが(注:ロボットへの変形を意図したものではない)、統合軍は体面上自軍の戦艦がロボットもどきになるのを好まず、婉曲的に「強攻型」という名称を付けたという説もある。しかし、副産物としてダイダロスアタックなる奇想天外な近接迎撃戦術までも生み出し、度々窮地を切り抜ける原動力となった意味で、その開発意義は大きい。

星間大戦終結後、マクロスは強攻型で地上に降り立ち、その姿のまま新統合政府のシンボルとなった。後世では原型の要塞艦より強攻型の方が代表的なイメージとして親しまれることになる。

弊害[]

艦内総掛かりの大作業であり、対空・迎撃のために戦闘配備されているデストロイド部隊も一旦艦内に収容されるため、変形中マクロスの防空体制は一時的に脆弱化する。あくまで対艦戦闘ミッションのため、敵小型機動兵器の迎撃はバルキリーなど航空部隊の奮闘に期待するしかない。また、要塞型の航法システムとは別物になるため、推進系や重力制御系に不都合が生じ、巡航速度が極端に低下する。地球への帰還を急ぐマクロスとしては戦闘時以外は解除したいところだが、艦内に南アタリア島仮設市街地を抱える特殊事情から、頻繁な変形は控えるよう配慮されている。地球帰還後は、高速巡航が不要なのと重力下での変形が困難なことから、強攻型のまま運用され続ける。

初トランスフォーメーションの際、推進ブロック(強攻型の脚部)内に再建されたばかりの市街地は壊滅的な被害を受け、事前通達の不十分から住民にも多くの犠牲者を出す。その反省から以後はブロックの移動にあわせた区画整理が行われ、建物の中にいれば安全を確保できるようになり、市街地の各箇所にはシェルターが設置された。変形発動の際には事前に「変形警報」が発令され、住民も次第に要領に慣れたため被害は減少していく。しかし、初変形時の被害はゼントラーディ軍の空襲より甚大であり、住民にはより実感的な戦争の脅威だったともいわれる。そのため、変形警報発令時には文字通り蜘蛛の子を散らすようにシェルターへ避難し、わずか数分間で市街地はゴーストタウンの様相と化す。

また、艦体ブロックを移動させて変形する為に一時的に出口の無い閉鎖空間になる区画も存在し、変形時に市民が内部に閉じ込められる事態がしばしば発生する(劇中で輝と未沙が閉鎖空間に閉じ込められる)。

メガロード級[]

マクロスを参考に建造され、戦後完成したSDF-2 メガロード-01以降のメガロード級大型移民船では、純地球製技術の向上とゼントラーディ艦艇の研究によりフォールドシステムの暴走・消滅の不安が解消された。このため、不要となったトランスフォーメーション機構は廃止された。そもそも、完成したメガロード-01は大幅な仕様変更に伴い、艦首主砲自体が搭載されていない。

新マクロス級[]

メガロード級の後継艦である新マクロス級超大型移民船では復活している。バトル級ステルス攻撃空母はステルス効果のために全火器が内蔵されており、敵艦隊との交戦時はそれらを使用可能にするために、近接攻撃モードである強攻型へ変形する[2]。このクラスは戦闘時に要塞艦(バトル級)がドーム式大型居住区(シティ)から分離して活動するため、住民への気兼ねなく戦術戦闘手段として変形を活用できる。変形プロセスは単純化され、無防備となる時間も著しく短縮されている。飛行甲板前部が両腕、後部が両脚として伸張、ブリッジ部が頭部となる。艦首底部に接続されている砲艦(ガン・シップ)が分離して右腕に握られ、強力な主砲「マクロス・キャノン」として機能する。

また、マクロス・フロンティア船団の旗艦バトルフロンティアは、攻撃空母型のまま主砲が発射可能で、開放式のため広域砲撃も可能である。

マクロス・クォーター[]

マクロスフロンティア船団にてS.M.Sが運用する戦闘艦「マクロス・クォーター」は、全長約400メートルというサイズながらトランスフォーメーション機構を搭載している。

従来のマクロス級、新マクロス級よりも小柄な艦体を活かした高機動運用が特徴であり、脚部のみを展開したガウォーク形態での戦闘や回避運動も可能。右舷がマクロス・キャノン(重量子反応砲)、左舷の飛行空母甲板はシールドとして機能する。小説版では、初代マクロスに倣って右舷は「ダイダロス」、左舷は「プロメテウス」と命名されている。

変形開始の際は、格納庫の機体は全て床にロック。また、メインブリッジ内で常時起立姿勢の操舵士とメインオペレーターには立座式の対Gシートが装着、各シートの乗員にも対Gベルトが装着され、衝撃やGを軽減している。

脚注・出典[]

  1. 劇場版では艦橋とレーダーブロックが一体化されているためこのシークエンスはない。
  2. マクロス・クロニクル No.5』ウィーヴ、2008年。
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